ルチンという素晴らしい栄養素を大量に含む「そば」は、血圧降下や肝機能の向上など、健康の向上に大変有効な食品です。それを、酒造りの技術を応用し、「生」の姿で作ったものが、大平庵の「生そば」です。当店は、「生そば」にこだわり、今後も「生そば」一筋に歩んでまいります。
大平庵の「生そば」は、内層粉とよばれる、そばの実の中心部分の粉を利用して作ります。白くてとても綺麗な粉です。そばの香りは少なめですが、独特のなめらかな「のどごし」と、貴賓ある、さわやかな甘みを持っているのが特徴です。内層粉は、そば粉の中で、最も高貴で取れる量の少ない粉です。日本酒にたとえるなら、お米を削り、中心部分の米だけを使って造る大吟譲酒。最高級の日本酒です。大平庵の「生そば」は、大吟譲酒と同じように、そばの実の中心部分の内層粉を利用して作るものです。これは、おそばの大吟醸ともいえるでしょう。
大平庵は、明治元年創業の造り酒屋でした。良いお酒を造るには、当然、良いお水が欠かせません。ここ佐賀県には、日本有数の造り酒屋があります。良い米と良い水がなければ、良い酒はできません。日本酒製造元としての歴史は終わりましたが、昔から酒造りに使用していた素晴らしい天山水系の良水が、今でも私たちのもとにございます。この水をつなぎとしてそば作りに利用したのが、大平庵の「生そば」です。酒造りに使用していた水は、そば粉の味わいを自然にやさしく引き出してくれます。
大平庵の「生そば」は、ph剤や合成化学物質の添加物は、使用していません。完全なる「生」の状態ですので、いわゆる日持ちはいたしません。冷蔵庫で保管して頂いても、製造日から4日程しか持ちません。放置したら、すぐに腐ります。冷蔵しても、時間がたてば、品質・味ともに落ちてゆきます。なるべく早めに、といいたいところですが、すぐに召し上がって頂きたい。
そば通は、日本酒を楽しんだ後に、締めにそばを食べるものです。昔、造り酒屋であった大平庵は、それをヒントに、「生そば」に酒精(アルコール)を利用しています。必要最低限の酒精を含ませることは、「生そば」の品質劣化の防止に役立ちます。また、「生そば」の封を開けると、お酒の香りがほのかにする、というところも、特徴です。酒精は、「生そば」をお湯の中でゆがく時に、全て飛んでしまうので、味に全く問題はございません。
いくらおそばが美味くても、「そばつゆ」がまずければ、せっかくのおそばも台無しです。「そば」と「おつゆ」とは、例えば仲の良い夫婦のようなものです。どちらが欠けても、どちらが主張しすぎても、良い夫婦ではありません。おそばを食べる時は、「そば」と「おつゆ」の相性がとても大切になります。
「そばつゆ」の土台となるのが「かえし」です。当店では、本かえしの製法で、醤油・味りん・砂糖を適度に配合し、3ヶ月以上、酒蔵の中でじっくりとねかせ、完全に熟成した状態になった「かえし」を使用しています。長時間、酒蔵でねかせた「かえし」は、角の取れた、まろやかな味に仕上がっています。
「かえし」の次に重要なのが、「ダシ」です。当店では、熊本県牛深産の厳選されたゴマサバから製造された「鯖節」と、鹿児島県枕崎産一本釣りの鰹から製造された「本枯れ節」をメインに使用しています。脂肪分が少ないゴマサバを原魚に製造される「鯖節」は、香りは少ないが、甘みのある濃厚なダシがでます。また、鰹節の中でも最上の「本枯れ節」は、一本仕上げるために半年ほどの工程が必要とされています。
さらに風味とコクを出すために、鰯・鯵節を加えています。これらで取れる「ダシ」は、風味・香りが絶品で、当店では、「そばつゆ」のほかに「お吸物」にも活用しています。当店では、これらをそのまま、「生」の状態で、「そばつゆ」造りに利用しています。
当店の「そばつゆ」は、完全な生のダシを使用していますので、日持ちがしません。当店は、長期保存が可能なものよりも、本当の「生」の状態の「そばつゆ」作りを選びました。生のつゆですので、保存は冷蔵庫で2週間以内にお召し上がり下さい。